ひなびた温泉に
光あれ!

なぜなかったのだろう?世の中に温泉の本はあふれかえってるのに、ひなびた温泉だけを紹介した本はなかった。だって、時代は大衆居酒屋ブームとか昭和レトロ回帰とか味があってシブい方へと向かっているわけで、温泉だってやっぱりそっちに向かっているのに……。だから出したのがこの本。待望の、ひなびた温泉だけしか載っていない温泉本。ひなびた温泉に光あれ!この本をきっかけに、ひなびた温泉がもっともっと親しまれますように。


日本全国のひなびた温泉50泉を厳選。激シブのひなび湯から、ジモの癒やしの場所ジモ泉、なんじゃこれは?のB級から、もっとなんじゃこれは?の珍湯まで、日本列島、東へ西へと、足を運んで取材してきました。ひなびた温泉の情緒や人情、シブさあふれる写真満載の温泉紹介。また、ひなびた温泉のレジェンドというべき、つげ義春についてのコラムから、著者対談、蛇口コレクションまで、バラエティ豊かな構成もお楽しみどころです。


ひなひな
〜っと50湯。

楽しく、愛を込めて
語ろう。

愛だろ?愛!そう、愛を込めて語ること。この本は、そのことをいちばん大切にしています。温泉を紹介する本っていうといわゆるガイドブック的なものが多く、そうなると、おのずとその内容もデータ的なことが中心になってきて利便一辺倒な本になってきます。でもこの本でなによりも伝えたいのは、ひなびた温泉の魅力やユニークさ。そしてまたこの本は読み物として楽しんでほしい。そういう思いがありました。だから、そのひなびた温泉のどこにココロを動かされたのか。なににグッときたのか。そんなことを中心に、その温泉と出会っときの気持ちに忠実に書いています。ラブひなびた温泉!ハイ、愛にあふれた一冊になっています。


温泉というと大切なのが泉質ですね。だから温泉の本には泉質の分析や三つ星評価みたいなのがよくある。でも、この本ではそういうのはあえてしてません。それというのも、ひなびた温泉場合は、泉質ももちろん大切ですが、雰囲気とか、シチュエーションとか、そこで働く素朴で飾らない人たちの個性とか、そしてなによりもひなび具合。そういったものが外せません。だから、三つ星評価の代わりに「ひなびた指数」というものを採用しています。その指数が実利的に役に立つかは書いている本人にもナゾですが、ひなびた温泉のユニークさ、多様性、奥深さ等が楽しくわかると思います。どんな指標なのかは本書を見てのお楽しみ。


ひなびた指数とは
なんなのか?

ひな研って、なに?

ひな研は、温泉は温泉でも、ひなびた温泉だけに特化して情報発信をしている近頃人気上昇中ウェブマガジン「ひなびた温泉研究所」のこと(http://hina-ken.com)。そのショチョー岩本薫と副ショチョー上永哲矢が思い立ち、ひなびた温泉の魅力をより多くの人に伝えるべく執筆されたのが本書です。
ショチョー岩本薫
1963年東京生まれ。本業のコピーライターのかたわら、webマガジン「ひなびた温泉研究所」を運営。日本全国のひなびた温泉をめぐって取材をしている。ひなびた温泉研究所ショチョーとしてBS日テレ「中川翔子のマニア☆まにある」TVK「サタミンエイト」文化放送「くにまるジャパン/おもしろ人間国宝」等に出演。
 副ショチョー上永哲矢
1972年神奈川生まれ。本業は歴史コラムニスト! とはいえ歴史以外にも旅、温泉、三国志などのジャンルで雑誌を中心とした各種メディアに執筆、各種イベントを主催している。

ショチョー
いやぁ、ハードだったけど楽しかったねぇ。まさにひなびた温泉もとめて東へ西へって感じで。
 
副ショチョー
8月なんか、お互いほとんど東京にはいなかったですよね。おつかれさまでした。
 
ショチョー
でもさ、取材を受けてくれた人たちもすごく快く対応してくれたのがうれしかったなぁ。
常連さんとかに声をかけてくれて写真のモデルをお願いしてくれたりとかしてね。
最初は、取材を受けてくれるかな?っていう心配もあったじゃない?だって「ひなびた」って、結構ビミョーな言葉だからね。「うちはひなびてなんかない!」って下手すると怒られちゃうんじゃないかと。でも、我々にとっては、最大限の愛を込めた言葉だし、たぶんこの本の読者さんだって「ひなびた」ってところに惹かれると思うし。ここだけはこっちだって譲れないみたいな(笑)
 
副ショチョー
しかも本のタイトルが「ひなびた温泉パラダイス」だったから、ふざけているみたいで、いいにくいところもあった(笑)
でも、意外とみなさん、快く取材を受けてくれて、「ワッハッハ。うん、うちは確かにひなびているからなぁ」なんてウケてるご主人もいたっけなぁ。
 
ショチョー
あ、でも、こっちは一軒だけクレームがあったよ。「うちの湯は日本一で、ひなびてなんかない!ひなびた温泉研究所ではなくて、日本一の温泉研究所に名前を変えるのなら載せてもいい」なんて無理難題を言われてね(笑)
 
副ショチョー
そ、それはスゴいね…
 
ショチョー
 でも、そのご主人の話をいろいろ聞いているうちにね、あ、この人は自分のところの温泉のよさをアピールしたいだけなんだな、と。案の定、ご主人もしゃべりながらだんだん気をよくしてきて最後にはあっけらかんと、掲載してもいいよって。
 
副ショチョー
 ああ、そういう人いますよね?ガンコで不器用なんだけど根はいい人みたいなおじさん。
 
ショチョー
 そうそう、愛すべき下町のおじさんタイプ。ひなびた温泉にはそういう、なんていうか人間くさい人、たくさんいるよね?
 
副ショチョー
 うん、いるいる!
 
ショチョー
 おもしろかったのは、宿で1人でご飯を食べていると、さっきまで配膳してくれていた宿のおじいちゃんが、ビールが入ったグラス片手にやってきて、一緒に飲みはじめるんだよね。普通のすました宿だったら絶対にありえないでしょ。でも、それが楽しいんだよね。ひなびた温泉の宿ならではで、なんていうか、すごくおおらか。まったく気取っていない。そのおじいちゃんとも、話が盛り上がって、なんやら台所から秘蔵のマムシ酒をもってきて、ほれ、ひと口でグイッといっちゃってなんていうわけ。
 
副ショチョー
 え?飲んだの?グイッと。
 
ショチョー
 そりゃあもちろん。グイッと一気にいったら、たちまち身体がカァーとなって、うわぁ、すごいなこれって、目パチクリさせてると、その様子をおじいちゃんが楽しそうに見ているわけ。
 
副ショチョー
 ウハハハ。
 

ショチョー
 まさにそういうのが、ひなびた温泉をめぐる旅の楽しさ。
 ほら、よく評判のおもてなしの宿とかいって、女将とか中居さんとかがズラッとならんでお見送りするようなところあるじやない。ひなびた温泉の宿とかは、そういうのとは対極にあるよね。
 
副ショチョー
 そうそう、玄関開けて「ごめんくださ~い!」っていっても誰もでてこないなんてザラにある(笑)
 
ショチョー
 おもてなしの概念が違うんだよね。ビールグラス片手に乱入してくるのも、我々にとってはそれこそが、ひなびた宿ならではのサプライズなおもてなし。
 
副ショチョー
 堅苦しいおもてなしよりも、“個性あふれる人たちとの想定外のふれあい”のほうが全然楽しいしね。そういえば延々と何十分も話しが止まらないスマートボール屋のおばちゃんとかもいたなあ。
 
ショチョー
 それ、もしかして四万温泉の、あのおばちゃんかな?
 
副ショチョー
 そうそう、あのおばちゃん(笑)
 
ショチョー
 だって、おのおばちゃんのお店には「客との会話が生きがい」なんて貼り紙がはってあるもん。おもてなしなんていうレベルじゃない。生きがいなんだからさ。
 
副ショチョー
 あのおばちゃんがいるといないで、四万温泉の楽しさもずいぶん変わってくる。ホント、いつまでも元気でいてもらいたいよねぇ。
 
ショチョー
 ひなびた温泉の魅力っていうのは、そういう名物おばちゃんとかまでを含めた物だからね。
 
副ショチョー
 温泉だけではない。だから、この本ををきっかけに、ひなびた温泉に行かれる人は、そういうのをひっくるめて楽しんでほしいですよね。
 
ショチョー
 そうそう、ぜひ「ひなびた指数」を参考にして。
 
副ショチョー
 断言してもいいけど、ああいうのが載っている温泉の本は今までなかった。ある意味画期的(笑)
 それとデータ的なことよりも、それぞれ個人の思い入れ中心に書いたから、その点でも今までの温泉本とはひと味違う。だから2人の個性の違いも出ているし。
 
ショチョー
 コピーライターと歴史コラムニストの違いみたいなのもはっきり出てるよね。出過ぎちゃったかもしれないけれど、まぁ、それがこの本の味でもあるのでご了承ください。……と、ここであらかじめ申し上げておきます(笑)
 
副ショチョー
 50湯に絞るのもなかなか判断がむずかしいところでしたよね。そのために断腸の思いで外した温泉がたくさんあったものなぁ。
 
ショチョー
 気持ちとしては、あと50湯ぐらいは紹介したかったよね。ひなびた温泉は、激渋系からB級、珍湯までと、個性が豊かだから、そういう個性のバランスを考えると、あれも載せたい、これも載せたい、全部載せたいって、駄々をこねてみたくなる、みたいなね。
 
副ショチョー
 ショチョー。やっぱりこれは続編を出すしかないでしょう。
 
ショチョー
 そのためにはまずこの本が売れないと。というわけで、みなさま、続編のためにも、どうぞよろしくお願いいたします!
 
※今回の本に、もっと濃い内容の2人の対談が載っています。ぜひ、そちらもお楽しみに!